関西発!「元気企業2010」
PEEKコーティングなど包装分野開拓
フッ素樹脂成型加工で高い実績
淀川ヒューテック(大阪府吹田市、TEL06・6386・2211)はフッ素樹脂成型加工の有力企業として高い実績を誇るが、最近、環境・新エネルギーといった新規分野の開拓を進めると同時に、PEEKコーティングや耐熱テープ分野などで包装関連市場の用途展開を図っている。今後の方向性を小川克己社長に聞いた。
当社は、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)、創業者である小川勉会長がフッ素樹脂成型加工企業・淀川化成を創業したのが出発であり、02年に現社名に変更しました。私自身は二代目社長として2年前就任しました。
フッ素樹脂は、熱に強い、薬品に強い、そしてくっつかないというユニークで優れた特徴を備えています。この特性を生かし、時代に応じてさまざまな製品を作ってまいりました。
現在の大きな事業の柱の一つが半導体装置分野です。この分野では洗浄装置内で薬液に強いフッ素樹脂のタンクやチューブを使用してシリコンウエハが処理されます。世の中に半導体がもちいられるようになって以来使用いただいており、現在でも相当なシェアを誇っています。 もう一つの柱は液晶関連です。液晶用ガラスパネルを搬送するためのカセットやボックスを製品化しています。これも液晶の草創期から供給しています。電卓用の小さいサイズから始まり、いまやパネルも3メートル角と巨大化しています。
この関連で、1996年に偏光板貼付機メーカーをM&Aし、「淀川メデック」としてグループ化しましたが、いまや100億円企業に成長しています。
ただ当社の半導体や液晶関連の設備投資分野はリーマン・ショックの影響をモロに受け、いまだに最盛期の7割程度にしか回復していません。
そこで現在力を入れているのが、超高分子ポリエチレン(UHMW-PE)フィルム・シート「ウルトラポリマー」、非粘着性・耐薬品性・耐熱性シート・ベルト「TGクロス・テープ」、「PEEK」(ポリエーテル・エーテル・ケトン)コーティングによる包装関連など、消耗材市場の開拓です。
例えば、段ボール製造分野ではスベリ性とともに強度が求められます。ライナと中芯を貼り合わせて段ボールを製造するコルゲート分野では、耐摩耗性・耐衝撃性・スベリ性などに優れた特性を発揮する「PEEK」コーティングが採用されております。その後、印刷して製箱化する工程には、インクをロールに付着させないためフッ素樹脂コーティングが使用されています。PEEKとフッ素樹脂の両方対応できるところは少ないと思います。
「TGクロス&テープ」は、袋をヒートシールする際、離形性を高めるため使用されています。食品製造分野などでも実績があります。
今後はリチウム電池・太陽電池をはじめとする環境・新エネルギー分野に注力するとともに、包装関連分野の開拓を進めていきたいと考えています。